赤十字に勤務している理学療法士が語るお話。アフガニスタンにある治療院は、かつては戦闘が起きると閉鎖していました。現在は戦闘中でも開院しています。そのきっかけをくれたある人物の話をしてくれます。1990年代のアフガニスタンでのエピソード。
彼の話し方は素朴で心にまっすぐ訴えかけてくるものがある。聴衆を圧迫するような話し方は一切無し。
ちょっと引っ掛かったのは、日本語タイトルと話の内容がちょっとミスマッチなこと。元のタイトルも”There are no scraps of men”となっているから間違ってはいない。ただ日本人が感じる「クズ」というのは、内面における下劣さを指すことが多いような気がする。だから、「役立たずな人間などいない」と言ってもらった方がすっと落ち着くのは僕だけかな。
タイトルの由来は、国内紛争で両足もなく腕も一本で、読み書きもできず、これといった技術もない男が、息子のために物乞いをやめて治療院で働かせて欲しいと申し出た時の最初の言葉。
“I am a scrap of a man.”
私たちはこういう人をクズと呼ぶ感覚をそもそも持っていない。だから、タイトルが内容と少しズレているように感じてしまうのが少しだけ残念。
Tips
赤十字社
スイス人実業家アンリ・デュナンの提唱により創立された、「人道・公平・中立・独立・奉仕・単一・世界性」の7原則を掲げて、世界各国に存在する人道的活動団体である。
主要任務
・紛争や災害時における、傷病者への救護活動
・戦争捕虜に対する人道的救援(捕虜名簿作成、捕虜待遇の監視、中立国経由による慰問品配布や捕虜家族との通信の仲介など)
・赤十字の基本原則や国際人道法の普及・促進
・平時における災害対策、医療保健、青少年の育成等の業務
など、非常に多岐にわたる。国際赤十字・赤新月運動
国際赤十字・赤新月運動(「赤十字運動」)は、赤十字国際委員会 (ICRC)、国際赤十字赤新月社連盟 (IFRC)、各国の赤十字(赤新月)社の3組織で構成されている。各組織は財政・政策の面で独立しており、ICRCは紛争、IFRCは自然災害、赤十字・赤新月社は主に国内で活動を展開し、それぞれの基本的な任務は異なっている。いわゆる「国際赤十字 (IRC)」はこの国際赤十字・赤新月運動を指す。
アフガニスタン紛争(1989年-2001年)
アフガニスタンで断続的に発生している紛争のうち、1989年のソ連軍撤退から2001年のアメリカ合衆国と有志連合諸国によるターリバーン政府への攻撃が発生するまでの期間を扱う。