Googleなどの検索エンジンで「大人 楽器」で検索すると、こんなYahoo!知恵袋のこんなページが引っかかってきます。
大人になって楽器を始める人がムカつきます。
絶対に上手くならないのになぜ始めるのでしょうか。
いっておきますが、楽器というのは人に聴かせても恥ずかしくないくらいまでは上手くならないと意味ありません。騒音以下です。それこそ暴走族のバイクの騒音の方がマシです。しかし大人になってから楽器を始めた人で上手い人はいません。
もちろん楽器によるでしょうが、有名な楽器(ピアノ、ギター、バイオリン等オーケストラでつかう楽器等々)は絶対に上手くなりません。
上手くなれたとしても幼少から始めた人の小学生低学年時代にすらおよびません。大人になってからヘラヘラ楽器始める人が本当に嫌いです。
私はおかしいですか?
確かにこの投稿者の言っていることは正しいです。
正しいか正しくないかという視点で言えば、正論。
それはどんな感情的な物言いだろうと間違いはありません。
しかし、ムカつかれる覚えはありません。
結局のところ、自分のうっぷんを晴らすために正論を持ち出す人は、表現者である前に下劣な人間であることを自覚するべきでしょう。
騒音がうるさいなら、その音を出している本人に文句を言うべきでしょう。こんな稚拙な煽り文句が「大人 楽器」で検索すると検索結果上位にくるのもどうなのかなと思ってしまいます。
ネットの短絡的さを物語っていますね。
正直、この検索結果はもったいない。
大人から楽器を始めるひとは決して安くないお金を払って趣味ではじめます。プロのように上手く演奏出来ないことも重々承知の上でしょう。また、社会的常識のある大人なら、騒音についてはむしろ子供以上に細心の注意を払うでしょう。
大人になってから楽器を習うというのは非常に難易度が高いです。それでもやろうとする人はどんな人でしょう? 幼少からやってきた人の足元にも及ばない? そんなことは普通の悟性を持った大人なら誰でも知っていますよ。
いい大人がお金を払って頭を下げて楽器に挑戦しようとしているんです。ヘラヘラなんてしてません。なかなかのメンタリティだなと私は思うのです。私はいくつになっても努力しようとする人間が好きです。
また、大人から楽器を始める人は、楽器屋さんにお金を払って楽器を購入し、プロの演奏家にお月謝を支払ってます。これだけでも音楽に寄与しています。養分でも結構ですよ。
建設的か建設的でないかという視点であれば、投稿者の意見は全く建設的ではありません。
むしろ、未来の音楽の芽を摘んでしまう行為だと言えます。
そもそも音楽というのは、多くの屍の上に築かれた芸術です。こんな小さなコミュニティで感情的に発言することに何の意味があるのでしょうか。こんな発言をするくらいですから、投稿者は、お金をもらって演奏する側のプロとも思えません。
音楽は幼少からといいますが、そもそもその子の両親に音楽への理解がないと、その子は楽器に触れるところまでたどり着けないのです。ですから、たとえレイトスターターだったとしても、子供や孫が音楽をやりたいと言った時に理解を示してあげられるのではないでしょうか。
例えば、19世紀ロシア帝国の著名なチェリストのカルル・ダヴィドフの父も素人のバイオリン奏者でした。こんな例はいくらでもあります。
これから未来の音楽を担う子供たちが音楽に触れる可能性が高くなります。当たり前に誰もが音楽を楽しむ、それでいいじゃないですか。
そういう国民性を育成していくことが、未来の音楽家を生み出す契機になるかもれないのです。
植物や魚が子孫を残すために何万何十万という種子や卵を放出するのは、ある意味成熟する命の確率の低さを物語っているのでしょうが、それでも彼らはそれだけの数を放出するのです。
音楽にもそういう意図を吹き込むような心持で関わっていければなと思うのです。
芸術への関心は伝染して欲しいなと。
大人から楽器を始めるならピアノがオススメ
どの楽器がいいということであれば、ピアノが一番。音程を取る必要がないからです。鍵盤をたたけばドレミがなる。これは、スロースターターにとってかなりのアドバンテージです。弦楽器や吹奏楽器のように音程を合わせる必要がありません。ドレミを作る必要がないということがどれほど楽か!また、電子ピアノであれば、ヘッドフォンが使えるので深夜の練習も大丈夫です。ですので、大人からはじめるならピアノです。
バイオリンが難しい理由
好きな楽器ならなんでも挑戦することは確かにいいでしょう。しかし、難易度の点でいえば、ヴァイオリンはかなりの難易度です。これにはちゃんとした理由があります。理由は2つ。弦楽器の中でも特別の地位と名誉を持つバイオリン、憧れですよね。
1.演奏姿勢がかなりきつい
ヴァイオリンを弾く姿勢というのは、幼少の頃から習っていないとかなり無理があります。体が固まってしまった成人では正しい姿勢を作るのが大変苦痛だと聞きます。
2.精度の高い音感が必要
どの弦のどの場所を押せばこの音が出るという指標が、ヴァイオリンには目に見えるかたちで存在していないのです。管楽器ならこの指の組み合わせ(運指)でドが出るとか、ギターならフレットがあるので、ここ抑えれば和音が弾けるという物理的な指標がありますが、バイオリンにはそれがありません。もうこうなると耳だけが頼りです。
また高い音を奏でる楽器というのは、音程が非常に不安定です。ですから、死ぬほど練習したとしても、そもそも正しいドレミを出すことすら至難と言わざるを得ません。
弦楽器ならチェロがおすすめ
それでも弦楽器を弾きたいというのであれば、チェロがおすすめです。もちろん、チェロにもギターのようなフレットはありません。ただ、チェロが得意とする音域は中低音なので、高音楽器とちがい音が取りやすいんです。また、弦も長いのでドレミの軸を作るのもしっかりやれば音は比較的当たりやすいです。