星の王子さま(フランス語原題:Le Petit Prince、英語: The Little Prince)は、フランス人の飛行士・小説家であるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリのよる小説。1943年にアメリカで出版。この作品のベースになったのが、彼自身が体験した1935年のリビア砂漠での飛行機墜落事故。この辺りは、彼のエッセイ集である『人間の土地』で語られている。サン=テグジュペリファンの間では、こちらもとても評価が高い。
あらすじ3行
サハラ砂漠に不時着した飛行士が
不思議な王子に出会って、
彼の旅の話をひたすら聞く
読後の感想
星新一のショートショートを彷彿とさせる骨太なストーリーと、滑稽な大人への風刺が効いたお話が続きます。
特に有名な「大切なものは、目に見えない」を語るキツネのお話は、もうラブロマンティック。
恋多きサン=テグジュペリの言葉がここにギッチリ詰まってます。
美しい愛の囁きです。
でも恋敵の薔薇に負けちゃうんですけどね(笑)
小さな王子様は小さな仕掛けが一杯あって、箱庭のような、テラリウムのような、そんなしっかりと境界線を引かれた狭くて小さな世界が並んでいます。
でも、その窮屈な世界の中に自分で閉じ込めた人生の果実があるような気がします。
狭くて小さいことが悪いと考えてはいけません。
大きさというのは常に相対的なものです。
王子様の住んでいた、小惑星B612の可憐な薔薇のように素晴らしいものもあれば、金を数えるビジネスマン、傲慢な王様、アル中おやじ、ワーカーホリックの労働者、死んだ学問に勤しむ学者など。
大人たちが住む星々は滑稽かもしれません。
でも、彼らはそれを甘受しています。
だからこそ、私は一見哀れに思える星々の滑稽な登場人物が好きです。
でも、よく考えたら、あれって人じゃないんですよね。
考え方や習慣なんです。
その権化が惑星の住人たちなんです。
王子様のもつ素直で純真な心を持つようにしなきゃとだけ考えるなら、やっぱり自分の人生に変化は起きないと思います。
大人にとって、お金を数えること、人に指示を出すこと、アルコールを少し楽しむこと、しっかり働くこと、勤勉であることは、人生を推進していく上で重要な要素です。
これは、人の星を見てあれはいけない、これはダメだという話ではなくて、自分の星を見てみて!というように聞こえます。
そして、こころの片隅に、小惑星B612のような小さな星を持ってね!と言われているような気がしました。
汚い星だろうが、小さい星だろうが、関係ありません。自分の星がどうなっているのかを直視してみてということなんですね、きっと。
人の人生は一瞬の瞬き。
バオバブが自分の星に根を張っていないか、定期的に自分の星をメンテナンスしてあげないといけないですね。
星の王子様は小さなソクラテス
王子様がする相手への質問するスタイルというのは、ソクラテスの問答に近いような気がします。
両者とも自分の聞きたい答えが返ってくるまで、とにかく質問をやめない(笑)
でもそこには真の知への探究心があるような気がします。
かの有名な「無知の知」という視点に焦点を当ててみると、このあたりがはっきりしてくるような気がします。
ソクラテスはデルフォイでの神託をきっかけに、世間で評判の賢者たちに彼らの知っていることについて鋭い質問を投げかけます。
ソクラテスは極貧生活も厭わずに歩き廻り、出会った賢者たちの無知を指摘していきます。
これがやがて有力者たちの反感を買い死刑に追い込まれてしまいます。
ソクラテスは自ら毒杯を手にして自死を選びます。
星の王子様も、蛇の毒によって仮の体を捨て去ります。
質問の答えが返ってくるまで徹底的に質問する姿勢や毒によって命が終わることを鑑みると、星の王子様というのは実は小さなソクラテスだったのではと思ってしまいました。
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