寄生獣ごっこがまた流行る!

寄生獣ごっこ

あの『寄生獣』が遂に実写化されるそうで。

私自身としては、小学生の頃から毎月のおこずかいから買い集めた記憶があるので、やはり特別に思い入れがある作品です。当時は単なるホラー漫画のような位置づけでしたが、中学時代には多くの友人が読み回しされるほど人気が出始めていました。

この作品の素晴らしさを友人たちに語る際に、私がいつも話しているエピソードがあります。

私が12歳の頃、叔父の家遊びに行った際にこの漫画を読んでいてひどく怒られたことがあります。小学生がこんなものを読むんじゃない!と。全くその通りだと思います。私も同じ立場なら、同じように言うでしょう。結局、当時持参していた2冊の寄生獣は没収され、また新たに買い求める羽目になりました。

翌年、また叔父の家に遊びに行くと寄生獣が全巻揃っているという事態に遭遇するのです。しかも、没収した漫画はそのままでその後の巻を買い足していたようなのです。

私はこの一件で、寄生獣という作品の価値の高さを改めて目の当たりしました。そこから、私は叔父と一緒になって寄生獣の伝道師と化したことは言うまでもありません。

寄生獣の一番の見所

全巻一気に読み切って欲しいのですが、一番の名場面はここです。
物語も終盤、主人公が違法投棄されたゴミ山の上で強敵”後藤”に圧倒され、もはやこれまでかという刹那に次のセリフが主人公の脳裏をよぎります。

この鉄の棒…先はどうなっている。
尖っているだろうか…いや、何も尖ってなくったっていい。
あの血は「後藤」の血だったのか?それとも返り血がこびりついていただけなのか…?
ひょっとしてあれがミギーの言っていたプロテクターの「すき間」じゃないのか。
この棒でプロテクターの「すき間」を突き刺す?そんなことできるのか…?
いまの「後藤」はあの時と体の形がだいぶ違う。同じ場所に「すき間」があるとどうして言える?
それより何よりあれが「後藤」の血だったかどうか…。

この棒だって使えるだろうか。
ただの棒とは限らない。この先に大きな部品でもついていたらどうする?引き抜くことも出来ないじゃないか。
ただの棒だとしても変に曲がっていたらだめだし、長すぎても短すぎてもだめだ。
第一「後藤」のスピードにかなうか?
いまそっぽを向いていてもこっちが起きあがればすぐに気づく。ヤツの体に触れる以前におれの体が2つか3つに切り裂かれ…いや起きあがる前だ。それどころかもう次の瞬間かもしれない。
なんだ…ほとんど可能性はゼロに近いじゃないか!

…でもやらなけりゃ…確実なゼロだ!!

私が努力について考えるとき、ここのセリフをいつも思い出します。人生は心配事で出来ているといっても過言じゃありません。その雑多な心配事を凝縮して、最後に腹を決めるところにこの場面の絶頂があります。何か簡単にやる気や意志力を得られると謳う啓発系の本も多いですが、全て意志は苦しみ抜いて悩み抜いて発揮されるものです。
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学生時代によく右手に目玉を描いてミギーごっこをやっていましたが、今回の寄生獣実写化でまたこの遊びが流行りそうな気がします。
寄生獣 完全版全8巻 完結コミックセット
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