私のチェロEwald Sommerについて
今回は、チェロを買った時の話をしようと思います。今はインターネットで何でも調べることができますが、さすがにチェロの値段となると情報に偏りが出てくるのは否めません。
ちなみにこの写真↑は、チェロのf字孔(えふじこう、f-hol ヴァイオリン属及の弦が張られている表板の中央付近にあけられている、左右対称の『f』の形をした穴)から撮影したものです。
何はともあれまずは予算
一口にチェロといっても値段はピンキリ。値段だけを見れば数万円〜数億円の世界です。バイオリンと比べてサイズも大きく制作工程が倍近くかかるということで、値段もやや高めとのこと。
ネットで得た知識の信憑性を先生に確認しながら価格帯を絞っていき、最終的にはアマチュア用のチェロであれば本体価格が20万円〜60万円が適正価格と理解。注意しなければいけないのは、この価格に弓やケース、その他の備品は含まれておらず、あくまでもチェロ本体のみの価格という点です。
初心者用の練習に耐えうる価格帯も大体わかったところで、チェロ本体だけでなく、弓とハードケース、その他備品も含めた総額の予算を自分の中で40万円と設定。
初心者向けのチェロのメーカーを調べる
本体格上限40万円程度で出回っていた主なブランドを紹介していきます。この辺の価格帯でも工場で大量生産されているものがほとんど。ただし、品質はそれなりに安定していると定評のあるブランドばかりです。
グリガ:Gliga (東欧ルーマニア)
最低価格15万円~
まず多くのチェロ初心者が辿り着くブランド。価格帯も手が届き易くクロサワバイオリンの店舗でも展示本数が多いので、いつでも試奏可能。中には個人輸入で直接買い付ける強者も居るようです。私の中でも最初の候補として上がっていたブランドでした。
カールへフナー:Karl Höfner(ドイツ)
最低価格は45万円~
ドイツの老舗楽器メーカー。ヴァイオリンやチェロ、コントラバスなどのクラシックな弦楽器からエレクトリックベース、エレクトリックギターに至るまで、様々な弦楽器を製造。少し頑張れば出せる価格帯なのも魅力。
ペゾルト:Roderich Paesold(ドイツ)
最低価格は35万円~
プロのオーケストラの演奏家も愛用していると触れ込みのブランド。これも頑張れば予算範囲内のメーカー。
カルロジョルダーノ
最低価格8万円〜
試奏はしていませんが、価格帯だけを見るとかなりリーズナブル。中国製。カーボン製のハードケースが比較的安価で手に入る。私はここのブランドのカーボンケースを購入しました。
クライスラーミュージック Cao工房
最低価格12万円〜
チェロ-バイオリンの通販を行っている。チェロ本体だけでなく、弓、ケース、その他備品までのセット販売。姫路の現地まで行けば試奏も出来ます。グリガ同様に候補に上がっていました。
ブランドにもグレードがある
例えばグリガなどのブランドでもグレードによっては15万円〜40万円の幅があります。しかし、ブランドの特有の音色というのは素人の耳にもわかるくらい違うので面白いです。
チェロ本体+弓+カーボン製のハードケース付で、40万以内と言えばグリガしかありませんでした。しかし、グリガを候補から外したのは、試奏した際に音が私の感じているチェロの響きとはまるで違っていたからです。グレードはGamaⅡとGemsだったと記憶しています。この辺の好みはあくまでも主観です。。。この主観の出所は、たった半年間のチェロレンタルでの練習経験。レンタルチェロの1台は60万クラスのドイツ製、もう1台は20万クラスの日本製でした。
試奏して良かったブランド
どのサイトでも言われていることですけど、試奏は「絶対」。
ドイツ製で試奏したのは、カールへフナー(No.4a)とペゾルト(PA603J)のそれぞれ60万クラスのチェロ。どちらのブランドも音の立ち上がりがスムーズで、音の厚みもあるような印象を受けました。レンタルしていた60万クラスのドイツ製チェロとも遜色がありません。もう10万円安かったら買っていたかもしれません。正直この時点でかなり心が揺れました。しかし、チェロ本体だけで60万円!これに弓やハードケースを入れるともう15万円ほど追加されるので、75万円になってしまうのでここは断念。
会社勤めをしながら、練習を続けることの難しさを痛感していた時期でもあったので、いつ辞めるかもわからない習い事に75万円はちょっと。。。というのが当時の正直な気持ちでした。40万円という予算設定以上は出さないと決めていたので、次のステップへ。
前から気になっていたクライスラーミュージックに問い合わせを行うことに。すると、チェロセット一式で40万円以下のお勧めの個体があるとのメール。GCV-750E のDavidov(ダヴィドフ)モデルという個体でした。試奏をするなら送ってくれるとまで仰ってくれましたが、それはそれでプレッシャーなので、都内からお店のある姫路に行こうと考えていました。非常に丁寧かつ親切な対応でした。
姫路行きの準備をしつつ、ある弦楽器屋さんでたまたまドイツのEwald Sommer(エヴァルト ゾンマー)というブランドのチェロを試奏。音の立ちあがりは、60万クラスのチェロに比べて劣るような気もしたけれど、ガツンとした力強い音色に惹かれました。また、楽器本体の色も重く沈んだ赤茶で艶っぽいというかセクシーというか。とにかく、私の探していたチェロはこれだと直感。
ただ、その個体も少々予算オーバーだったので、店を後にしようとした際に店員さんが楽器本体とペルナンブーコの弓とカーボンハードケースをフルセットで40万円でいいよと提案いただきました。本来であれば、このタイミングで先生に連絡して弾いてもらってから、最終的な判断を先生に仰ぐべきでしたが本能的に即決。
次のレッスン時に、実際に先生にも弾いてもらいましたが、本体価格が30万以下にしてはよく鳴る楽器で練習に耐え得るいい楽器だとお墨付きをいただきました。
Ewald Sommerとは?
写真は私が使っているチェロになります。南ドイツのバイエルンにある100年以上の歴史あるチェロ工房。国内での流通本数は少ないためか、ネットにはほとんど情報が出回っていませんでしたが、ドイツの代表的なチェロメーカーとしても名を連ねているので安心できるかと。ただ、Nr.9 (No.9の意味)というグレードがいくら調べても出てこない。
国内だとこの方のブログに詳しく書かれてありました。
チェロ購入のエピローグ
Ewald Sommerと出会うまでに様々な弦楽器屋さんに足を運びました。ある弦楽器屋さんではチェロを30万円で探していると言ったところ、門前払いされたことがありました。最初はムッとしましたが、よくよく考えてみると適正なチェロの価格は60万円くらいということがわかってきたので、まぁ仕方ないですね。
この辺りの価格帯になると本数もバリエーションもブランドも一気に増えるような気がします。予算に余裕のある方は、この辺りの価格帯から検討を始めてみるのもいいかもしれません。
安くて良い楽器に巡り会いたいのであれば、自分の足とプロの弾き手との両輪で探すことをお勧めします。