密林寺(amazon)からお坊さまが派遣されるってよ!

[お坊さん便] 法事法要手配チケット

amazonが始めた新サービス[お坊さん便] 法事法要手配チケットです。通常3〜5週間で発送しますと書かれてありますね。発送って。。。価格は35,000円〜65,000円。この価格差の理由をちょっとまとめてみましょう。

  • 35,000円(移動なし、戒名なし)
  • 45,000円(移動あり、戒名なし)
  • 55,000円(移動なし、戒名授与)
  • 65,000円(移動あり、戒名授与)

なるほど、これはわかりやすいですね。戒名授与ってあるけど文字数で金額も変わったりしないのかな。多分、普通戒名の場合でしょうね。

しかも、既に38件のレビューが書き込まれていて中々盛り上がっている様子です。この密林寺の動きに対して、全日本仏教会が「お布施はサービスの対価ではない」と“商品化”の批判も出始めています。

しかし、この商品は何もamazonだけではないのです。

2010年5月10日、大手スーパーのイオンが浄土真宗、浄土宗、曹洞宗、臨済宗、天台宗、日蓮宗と主だった宗派には全て対応する8宗派約600ヶ寺と連携しお坊さん紹介サービスを開始していることから、葬式の商品化は既に始まっていたとも言えるのです。現状だと、イオンのお葬式公式ページの方がわかりやすいですね。

イオンのお葬式公式ページ

お釈迦さまは葬式について何て言ってたの?

仏教の開祖である釈尊は弟子に死後の遺骸の処置を問われた際に、特に遺骸の供養等考えなくていい『真理の追求に専念』すべきだ、と答えたとされています。原始仏教の考え方そのままです。

日本に仏教が伝来した当時、当時の日本寺にとって死は「穢れ(けがれ)」であったとされます。これを引き受けたのが仏教であり、日本人の死の概念を浄化したとも言えると私は思っています。

檀家制度っていつできたの?

江戸幕府が、キリスト教弾圧のために作ったのが檀家制度なんです。 1612年(慶長17年)に制定された檀家制度は、民衆は必ず寺院の所属する事を義務付けるものだったんです。これで仏教の世俗化が一気に進んだとも言われており、『葬式仏教』と揶揄される原因となった制度です。根の部分というのは排他的な制度だったんです。

戒名って何?

仏教において仏門に入った証であり、戒律を守るしるしとして与えられる名とされます。ですから、死んだ途端に戒名を与えるっていうのは後付けの解釈なんです。本来の意味からすれば、生前に戒名もらっておくべきだと思うんです。

お寺に支払った金額によって戒名のランクが変化こともしばしばというか慣習化してますね。普通戒名であれば、イオンでは45,000円のお布施に含まれているとの事(居士大姉などの戒名は別途費用がかかります)。

私の場合、両親が望むならもちろん戒名は付けます。私は戒名なんて要りません。最近、般若心経についてあれこれ本を読んだりしているんですが、戒名なんてそれこそ自我への執着ではないかと思うのです。死んだ後の私は溶解しちゃうらしいんですよ、般若心経によると(笑)

私はこの名前で生きて、この名前で死んだんですっでいいじゃないですか。仰々しい名前に値しません、私の場合は。

葬式がお金にならなければどこも参入してこないはず

ネットを検索してみると肯定的な意見もあれば、否定的な意見もあります。喧々諤々、たくさん議論したらいいと思います。お葬式が純粋に精神的なものであれば、amazonもイオンも参入は出来なかったはずです。

人の死が江戸時代に制度(システム)として世俗化されてしまった以上は、お金が絡む。お金が絡むってことは営利目的に走るお寺も出てきます。そう考えていくと、やはりお葬式は『システム化された商品』です。商品じゃないというのは詭弁でしょう。いつまでも葬式システムをチューニング・改修しないから、黒船に横槍入れられてきたってことですかね。

ちなみに、私の祖父の戒名には『院号』が付いていました。70万円ほど支払ったと聞いています。

宗教的な行事がすぐに世俗化するのが日本人の気質なのかもしれません。これは何も葬式に限った話ではありません。結婚式もそうですし、クリスマス(何故か復活祭は全然盛り上がらない)やハロウィンもそうです。

八百万神という無意識の信仰心が日本人の根底に通奏低音として流れているのかもしれませんね-。