サカナクションが好きならこれも気にいるはず!稲垣 足穂の『一千一秒物語』


稲垣 足穂「一千一秒物語」
キネオラマ的世界観が好きな人には一千一秒物語はどストライクの作品かもしれない。



キネオラマとは?
〔和 kinema+panorama〕明治時代の興行物の一。パノラマの背景・点景などを色光線の照明によって種々に変化させて見せる装置。

こういう仕掛けを伴ったミニチュアの中では、想像力は自由に羽ばたくことが出来ない。圧縮されて押し込められた想像力が、キネオラマの暗い影の中でシューっと花火のように美しく爆発する様はそれこそ滑稽で素晴らしいと思う。

また、キネオラマを実際に知らなくとも、ロックバンドのサカナクションの「バッハの旋律を夜に聴いたせいです」の歌詞に強く共感を覚えるタイプなら、是非読んでみることをおすすめする。多分外さない。

タバコの話がとにかく多いので21世紀の神経質な嫌煙者には不愉快かもしれないけれど、映画コーヒーandシガレッツが好きなら、これまた相性バッチリ。くゆらす紫煙の描写はほんとうに素敵だから。ニコチン中毒者と言われた足穂が描いた作品だから間違いない。

一千一秒物語や黄漠奇聞などは、キネオラマ世界の天蓋から注がれる視線によって話が展開していくような印象を受けるが、もちろんそれだけが彼の視線ではない。

例えば「弥勒」という作品は全く別物。個人的にはこれが一番好き。いのちを食べる事、自ら命を断つということが、彼自身の中で実際的にどういう意味を持つのかをかなり平易鮮明な言葉で語ってくれる。衒学的なスタイルが目立つ彼の作品の中でもこの作品だけは一種独特な雰囲気を持っていると個人的には思っている。

ちなみに、この『弥勒』は2013年夏に稲垣足穂作品初の映画化が決まってるみたい。この作品の映像化に挑むってスゴいなぁ。

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