チェロを始めて6年目に突入。
初心者用の楽器として購入したチェロもそろそろ性能的に限界を感じてきています。先日、C線が重くあまり響かないことが気になって、先生に尋ねたところ演奏の技術不足ではなく、楽器自体の問題とのこと。工房で確認してもらったところ、裏板に貼ってある低音用の木材が少し小さいかもしれないとの答え。魂柱の調整のみでなんとかするしかないとの回答でした。
これをきっかけにいよいよ買い替えを検討することに。
買い替えを検討しつつあちこちの弦楽器専門店で試奏しています。現状のチェロが40万円でしたので、次は120万円〜180万円あたりを考えて足を運んで試奏をしているところです。
もちろん、予算を遥かに下回る楽器や超高額の楽器なんかも触ってみて自分の持っている感覚と値段の感覚がズレていないかどうかを確かめつつという感じです。
中国製チェロ 大手チェロメーカー 30万円
初心者がチェロを始める際に、よく聞くブランドです。
一応チェロの形はしているといった感じでしょうか。オールド仕上げで見た目は十分カッコイイですが、音は私の持っているドイツ製40万円のチェロに全く及びませんでした。30万円だと大金だと考える人もいるでしょうが、バイオリン製作の2〜4倍の手間がかかるチェロを30万円で手に入れようとするのが、そもそも甘いかもしれません。遠くに響かず側鳴りとはこういうことかと理解させてくれる楽器でした。
中国製チェロ イタリア人作家監修 60万円
中国工房でのフルハンドメイド、イタリア人作家監修との触れ込みで、強い興味が湧き、試奏を申し込み。金額がそこそこということもあり、興味本位で弾いてみました。低音の鳴りの含め、バランスは良かったですが、全体的に音が小さい。それを言うと「よく弾き込むと音が出てきますよ」という回答。この返答でこの楽器はナシに。
私はこの手の論調が嫌いです。一体どれほど弾き込んで音が出るのか? 楽器のポテンシャルも未知数だからです。伸び代が未知数で中国製のものに60万円は出せません。それなら倍額出して、東欧かドイツ製などの別の楽器を買います。いい楽器は最初から鳴るべきだと私は考えています。
ドイツ製チェロ 2016年製 78万円
悪くはありませんが、やっぱり音が硬い。倍出して別のチェロにした方がいいかな。
ドイツ製チェロ 1923年製 150万円
音に硬さはありましたが、値段相応に鳴るなという感じでした。板の色も黒っぽくて、うめき声のような力強い音色に惹かれました。
ハンガリー製 新作100万円
可もなく不可もなく。でも100万か。。。という気分にさせられる。中級者にとっては一番中途半端な価格帯かもしれないです。
イタリア製 クレモナ新作 200万円
クレモナってよく聞きますよね。噂には聞いていましたが、艶っぽい音でバランスも抜群。しかし、ドイツ製チェロと50万円の差があるほど素晴らしいかと言われると、少し疑問でした。ネームバリューも価格に影響しているかもしれませんね。
ドイツ・イタリア合作 90万円
このチェロがすごかった。上記のイタリア クレモナ新作200万を凌駕する音量、音色、艶っぽい芯のある音で、ものの数分で空間全体に音が広がりました。まっすぐ美しいものが漂っていて、普段聞いているチェロの音は一体何だったんだというくらいの衝撃。一年くらいかけてじっくり探すつもりでいるので今回は見送りに。ただ、この楽器の金額と性能が自分の中で一つの基準と定めました。
中国製チェロについて
「中国製チェロでもいいものがある!」と聞くようになりました。また廉価版だけでなく高額な中国人作家のチェロも出回ってきているようなので、試奏はタダなのでじゃんじゃん弾かせてもらっていますが、コレ!というのはまだ見当たりません。チェロの先生が紹介してくれるものであれば、いいかもしれません。
ドイツ製チェロについて
音が硬いと言われがちですが、やっぱり硬いものが多いです。音もガサついているものが多い。機械で仕上げているものが多いためか、値段も50〜80万円と中途半端なものが多い。むしろ、この辺りの価格帯が初心者向けでないかと思われます。
イタリア製チェロについて
総じて値段も性能も高いという印象です。クレモナと名が付くだけで金額が跳ね上がるのはどうかと思いますが、それでも弾いててこんなに気持ち良くさせてくれるのはイタリア製だけでした。
先生に楽器を選んでもらうのは最後の最後しよう
チェロの楽器探しとなれば、どうしてもネガティブになりがちです。楽器の支払い金額はだいたい3桁。やっぱりプロの審美眼でいいチェロを購入したいと最初は誰もが考えるでしょう。ネットでも、先生と一緒に選ぶのが一番という話も見聞きしますが、2回目の買い替えに関しては最初は一人で店を回るべきだと思っています。
先生が楽器を選ぶ場合、先生が贔屓にしている工房から取り寄せるか、弦楽器店に足を運んでもらう形になります。これがなかなかの心労ですよね。
先生が贔屓にしている工房から取り寄せてもらった場合、予算に応じて3〜4本見繕ってレッスン室まで運搬してくれることがほとんど。この中に気にいる楽器が無かったらどうします? ここで要りませんと答えられますか? 私なら忖度してその中から選んでしまいます。あとモヤモヤが残ったりすることもあるでしょう。高額な商品でもあるため、下手をすれば先生と生徒の関係が壊れる可能性もあるので、不用意にするべきではないと思っています。
次に弦楽器店に先生を呼んだとしても、先生がその店で楽器を弾いてみて、この楽器店はやめておきなさいと言うでしょうか? やっぱり、その楽器店で予算範囲内のものを無難に勧めるような気がしてなりません。また、マナーとして足代もお渡しするのが常なので、やっぱり上手くいかないとモヤモヤしてしまいます。
ですから、まずは自分一人で大手弦楽器店や工房を訪ね歩くようにしましょう。自分が弾く楽器です。初心者ならまだしも、数年弾いていれば、好みの音も、低音の響き方も、ウルフいついても多少知見が養われているでしょうから、金額と楽器の性能にそれほどの乖離はないはずです。
試奏した楽器については順次書き足していこうと思ってます。
ご興味があれば海外でのチェロ購入の金額について書いてある記事も参照してみてください。