児童たちを悩ませる夏休みの宿題と言えば、読書感想文。
はっきりいってネットが発達した現代では、読書感想文を子供にやらせる意味はあまりないと思っています。理由は二つ。
1.ネットを使えば読書感想文を盗めてしまう
夏休みの時期になると、私のブログにブックレビューカテゴリにあるスフィフトの『ガリバー旅行記』や井伏鱒二の『黒い雨』の書評にアクセスが急増します。
なんだろうと思っていたら何てことはありません。キッズたちが読書感想文をネットで検索しているんでしょう。
ブックレビューのサイトは沢山あるので本を読まなくとも感想をつなぎ合わせれば、読書感想文が出来てしまいます。
さらに悪質なところでは、読書感想文のデータベースなるものがあり、図書名で検索すれば読書感想文が呼び出してくれます。
夏休みの宿題を代行する業者も話題になりました。
大学生が提出する論文はさすがに盗作を判別をするアプリで対策を取っているようですが、読書感想文での盗作調査は、おそらくコンクールの選考会まで、その作文が進んだときでしょう。
つまり、ネットが発達した現代においては本を読まずして読書感想文が書けてしまうのです。
2.一冊読んだだけでは書けない
読書感想文というのは1冊読んだだけではなかなか書けません。
私も読書感想文と聞くと、暗中模索のモヤモヤした気持ちが蘇ってきます。
要は書き方がわからないのです。
子供たちは、読んだ本のあらすじをなぞるのがやっとでしょう。つまり、要約は出来ても感想が書けないのです。
本の中に、自分の人生経験に照らし合わせられる部分があればいいのですが、その共通点を探すのが大人でも難しい。
これが、課題図書で読む本がガチガチに決まっている場合ならそのハードルはぐっと上がります。
個人の経験だけでなく、社会的な知識や、時代背景など、ちゃんとした読書感想文であれば関連書籍をあと1冊は読まないと感想文は書けないでしょう。
「1冊読んでその感想を書く」というのは、言葉ではわかるのですが、それがどの範囲まで風呂敷を広げるべきなのかを教えてくれない点に大きな問題があるような気がします。
ですから、もし読書感想文を書かせるのであれば、課題図書の他に、児童本人に本書と関連する1冊を探して出してもらって2冊読んでから書いてもらうといった具体的な指示が欲しいものです。
そうすれば、児童の自発性や知性の深化という点でもいいのではないかと考えています。
結論! 読書感想文をやめてビブリオバトルにしよう!
結局のところ、大人でも書くのが難しい読書感想文という曖昧模糊なものを児童に書かせたり、ネットで盗むというリスクを冒すよりも、児童たちが自発的に好きな本を1冊選んでクラスでビブリオバトルをするのがすごくいいのではと思うのです。
ビブリオバトルとは、京都大学から広まった読書会です。各地の図書館でも開催されるようになりました。
ルールはいたってシンプル。
- 発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
- 順番に一人5分間で本を紹介する。
- それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う。
- 全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを『チャンプ本』とする。
— ビブリオバトル普及委員会、ビブリオバトル公式ルールより
小・中学生であれば、紹介は2分でもいいでしょうし、ディスカッションせずに投票でもいいでしょう。
ビブリオバトルの素晴らしいところは、本の紹介による『プレゼン能力の向上』と『参加者全員の投票』という2種類の意思表明を子供達がしっかり学べるところにあります。
これは多くの日本人が苦手しているジャンルではないかと思います。
全体に向けて正しく意思表示するという考え方をビブリオバトルを通して、学べたら素敵だなと思った次第でした。
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