無菌社会に生きる私たちに突き刺さる『閻連科(えんれんか)の愉楽』

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無菌社会に生きる私たちに突き刺さる『閻連科(えんれんか)の愉楽』

あらすじ3行

障碍者で構成される絶技団が、
興行収入でレーニンの遺体を購入して、
観光産業にしようという話

閻連科(えんれんか)って誰?

著者の名前は閻連科(えんれんか)といいます。

1958年に生まれ、貧しい村で育ち、高校を途中で退学後は出稼ぎで鉱石運搬や重労働に従事。

その労働時間は1日16時間に及ぶこともあったといいます。

1992年に雑誌で発表された「夏日落」で世間の注目を集めると同時に中国政府から最初の発禁処分を受けることとなります。

2014年にアジア人で二人目となるフランツ・カフカ賞受賞。(2006年に村上春樹が受賞)

閻連科(えんれんか)は、ガルシア=マルケスの『百年の孤独』と同様、マジック・リアリズムという手法を用いたダイナミックな作家と評されることが多いです。

現実と虚構世界を一本に組み上げる、言うなればアンビルドな超絶技巧の使い手です。

レーニンって誰?

ロシア人で社会主義者だったかも〜くらいは知っているけれど、もう少し知っておいた方が物語を面白く読めると思います。

本名:ウラジーミル・イリイチ・レーニン

1870年4月22日 – 1924年1月21日

ロシアの革命家で史上初の社会主義国家ソビエト連邦を立ち上げ、ソ連共産党の初代指導者。

ソ連だけでなく、中華人民共和国、キューバ、ラオス、ベトナムなどの社会主義国家を掲げる国々にとっても、カリスマとして神聖視されています。

レーニンの遺体というリアリティ

この物語の中盤では「レーニンの遺体」を買い付けにいくというのが、キーポイントになってきます。

実際に、レーニンの遺体はエンバーミングという防腐処理を施され、今でもモスクワの霊廟で生前の姿に近い状態で眠っています。

レーニンの防腐処理過程の画像や映像は残っていますが、検索しないほうが賢明でしょう。

カリスマを防腐処理して残しておくという、感覚は日本人には理解しがたいものではあるものの、世界にそういったカリスマたちの遺体が存在するということ自体が、この物語のリアリティを一層引き立ててくれているのは間違いありません。

ロシア政府は、遺体埋葬の計画を何度も打ち出していますが、そのつど国内の猛反対にあい撤回されているそうです。

ロシア国民にとっては近代ロシアの父として慕われているためだとか。もう休ませてあげなよと思ってしまうんですけどね。

キリスト教の影響もあると思いますが、遺体というシンボルに執着しているようにしか思えません。

ちなみに、永久保存目的で防腐処理をされたのは、レーニン、ホー・チ・ミン、毛沢東、金日成、金正日になります。

この点からも、物語を補強する材料として面白いです。

このメンツだけで、何か悪い冗談なんじゃないかと思えてきますが、現実世界もこの「愉楽」の狂気と同じものが満ちているのです。

季節がてんかんを起こした!金と腐臭とクソッタレ!

「愉楽」は露骨な物言いと悪趣味なユーモアと泥水をすするような汚いお話ですが、素晴らしい芸術作品です。

「レーニンの遺体」購入を取り巻くカネの強烈な腐臭と、現代の中国が抱える問題を渾然一体となって骨太のスーリーに格納されている様は圧巻です。

また、障碍者に対する差別用語がどのページにも並べられています。

読むに堪えない箇所もあります。

最後まで読み切れば、何かに辿り着きます。

この物語の舞台であるその村人の一人となって、あなたもその瞬間に立ち会ってもらいたいと思います。

愉楽を読み終えた後は、巻末の「日本の読者の皆様への手紙」と「訳者のあとがき」を読んでみてください。

無菌社会で生きる日本人に、突き刺さるものがあります。

手に入れるべきものは、すべて自分の中にあるんでしょう。

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“おやゆび文鳥”

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