ダークファンタジーがたっぷり詰まった宮沢賢治の『新編 風の又三郎 』

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前回紹介した銀河鉄道の夜に比べて、この本はどちらかというとダークファンタジーの様相を呈している。一般的に見て救われない話が多い。ただ、宮沢賢治のファンタジーの源泉がぎっしり詰まった内容であることは間違いない。「蜘蛛とナメクジと狸」の話などは、銀河鉄道の夜に収録されている「双子の星」同様、宮沢賢治の最初期の作品だと言われている。
物悲しい結末を受け止める準備がないのであれば、銀河鉄道の夜や注文の多い料理店を先に読むことを勧める。教訓や道徳を示す教育的な意味が強いのもが多い。

ネット上に生息して常に自分が正しいと自惚れるあなたには、貝の火を。

自分だけを優先することしか考えないあなたには、蜘蛛となめくじと狸を。

訴えることばかり考えてしまうあなたには、ツェねずみを。

社内の政治的なしがらみばかりを考えてしまうあなたには、クンねずみを。

iPhone5sが気になって仕方ないあなたには、カエルのゴム靴を。

最近流行のフクロウカフェが気になっているあなたには、二十六夜を。

いただきますを言わないあなたには、フランドン農学校の豚を。

それぞれオススメします。

教訓的な話ばかりでなく、雁の童子や、グスコーブドリの伝記、風の又三郎など宮沢賢治を代表する作品もしっかり収録されている。この本に収録されている本は諦念とは何かをはっきりと教えてくれる。五木寛之氏の言葉に諦めるとはそれが出来ないと明らかに極めることというのを思い出した。深い断念が宝石のように随所に散らばっていて、悲しくも美しい輝きを放つ。

自分の中に縮小した神を見出す現代の風潮。自然が織り成す世界の広大さと同期出来ない自我ならば、これほど不幸なことはない。普段何気なく自分たちが過ごしている日常生活そのものが、世界に対する投票であり、その多数決で第一等に輝いたこの「惨状」こそが私たちの総意が望んだものに他ならない。

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“おやゆび文鳥”

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