ニーチェのツラトゥストラはかく語りき|君はもう一度同じ人生を願うか?

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ニーチェのツラトゥストラはかく語りき 君はもう一度同じ人生を願うか?

1885年に発表された、ドイツの哲学者ニーチェの後期思想を代表する著作と言われています。誰でも読めるけど、誰にも読めない不思議な本。それがニーチェのツラトゥストラはかく語りき。ツラトゥストラはこう語ったという邦題もありますが、かく語りきという響きが好きです。

冒頭の写真がライオンなのは、上下巻を読み通せばわかります。

フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ

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ドイツの哲学者、古典文献学者。現代では実存主義の代表的な思想家の一人として知られる。古典文献学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・リッチュルに才能を見出され、哲学教授職を希望しつつも、バーゼル大学古典文献学教授となり、辞職した後は在野の哲学者として一生を過ごした。随所にアフォリズムを用いた、巧みな散文的表現による試みには、文学的価値も認められる。

Wikipediaより

平等という劣悪なブロイラー

自己啓発本の類は世の中に腐るほどあるけど、自己啓発のキングはやっぱりニーチェ!スピード感溢れる彼の言葉は、さながら彼の運転するスーパーカーの助手席に乗り込んだ気分にさせてくれます。

読み進めるにあたっては、いくつか象徴的なキーワードも出てくるので、キリスト教、ギリシャ哲学のキーワードも訳注で押さえておいたほうが理解が進みます。読みにくいなぁと感じたら、巻末の解説から読むのがいいかもしれません。

自己啓発本とは薄められた宗教に過ぎないというのが長年の持論でしたが、まさしくツラトゥストラはこれを最初に体現した作品かもしれません。

ジョジョ好きなら必読書だと思う。切れ味の鋭い熱のこもった言葉が沢山飛び出します。

悲劇的な美しさを感じる著者の半生が生み出した骸骨ダンスの傑作。それがツラトゥストラはかく語りきではないかと勝手に想像。

読んでるとテンションアゲアゲになります。ただ、テンションがアッパーになるってことは、他者に対する残酷さという毒が含まれています。

世に出回っている啓発本はすべからく残酷だからね。

帰宅時間になるとサラリーマンの虚ながらも「自尊心を失うまいぞ!」と決意したような面構えをよく見かけます。社会や組織の不条理に圧迫されて顔が歪んでしまったんだ。

退職しても会社での肩書きを語る男が多いと医療関係に勤めている母はよく言っていた。

そんな顔の持ち主に、ツラトゥストラはかく語りきをなんとしても読んでもらいたいと思う。

平等という劣悪なブロイラーの中で今日も寿司詰めの満員電車に乗る同朋たちよ!

ツラトゥストラは読者に手を差し出してくれるけど、その差し出された手を握ったら、余った片手でめい一杯殴られる。そこに社畜は痺れる憧れるぅ!

『ツラトゥストラはかく語りき』を理解するには次の2本の柱を抑えておかなければいけません。

超人思想

聖人じゃないところがミソ。人を超えた存在。私の解釈だと人生に誠実に向き合う熱量が振り切れている人。善悪の尺度ではなく、自分の生に対する誠実さのみを徹底的に追及し清濁合わせ飲める存在。限りなく白く、そして限りなく黒いアンヴィヴァレントな危うさの中を平然と綱渡り出来る道化であると考えています。うーん、まさしくX-MEN!

ツラトゥストラはかく語りきの最初の部分である道化が綱渡りに失敗して死ぬシーンがあります。超人への挑戦がむごく砕けることを象徴しています。

ツラトゥストラは徹底的に衆愚をなじる。仲間に呼びかけている風であるが、ツラトゥストラに仲間なんてのはいない。

私たちは後にやってくるであろう超人たちが渡る橋となるために、その捨て石にならなければならないのだから。泥人形のような小さな人間の群像がそこにあるだけ。

この超人思想は、磨き上げられた独特のエリート論で、キリスト教の説く隣人愛ではなく、透徹した自己愛。

そして自己の中に内包された魂に神性を見出し、己が自身を神とせよということなんでしょうね。

自由の哲学でしょうか。

永劫回帰

『おまえは、おまえが現に生き、これまで生きてきた人生を、もう一回、さらには無限にくりかえして生きなければなるまい。そこにはなにひとつ新しいものはないだろう。あらゆる苦痛とよろこび、あらゆる思念とためいき、おまえの人生のありとあらゆるものが細大漏らさず、そっくりそのままの順序で戻ってくるのだ』

超人思想も面白いけど、真に迫るのはやはり永劫回帰の思想。君は君の人生をもう一度生きたいと思うか?と尋ねられた時、はっとさせられる。
アワワってなる。なんとか人生を山や谷を越えてきたけど、もう一度やりたい?って聞かれてどう反応していいかわからない。

これに即答できないのであれば、私たち自身の人生とはシーシュポスの神話に出てくるあの無限に続く罰と同じである。

ぶっ飛んだ神秘体験

んでもって、この摩訶不思議な本がニーチェの実体験をベースに書かれていうのだから、さらに面白い。哲学書でありながらミステリー小説みたいなんだよねー。

ニーチェといい、ナポレオンといい、ソクラテスといい、ゲーテといい、パウロといい、カスパーハウザーといい、みんな奇妙なエピソードを持っている。本当にあったのか、後で付け加えられたのかはさておき、まぁまぁ興味を惹く話ばかり。

ツァラトゥストラとは、ゾロアスター教の開祖の名前であるザラスシュトラ(ゾロアスター)をドイツ語読みしたもの。ただ、ゾロアスター教の思想とはほとんど関係がありません。本書のインスピレーションとなったのは、1881年の夏、ニーチェがエンガティン峡谷の小村シルス・マリアに滞在したとき。散歩中のニーチェは突然永劫回帰の思想の啓示を受けたんだって。だから、ニーチェが受けた啓示が本書執筆のきっかけ。

透徹した光で心臓を突き刺すような不思議な文体。これは、ニーチェフリークが沢山生まれてもおかしくありません。ニーチェのこの思想は凡夫には眩しすぎてなかなか近づけない。むしろ、この超絶エリート論に簡単に陶酔しちゃうようだと、あなたは超人になったわけではなくて、超人が渡る橋の材料に加工されちゃうってことなんだろうと思うんだですけどね。ポケモンの飴と一緒ですよ。選り分けられた個体以外は、何かの材料になるしかないのです。

私はこの点については、否、否、三たび否!と言ってみたいですけどね。

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“おやゆび文鳥”

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