13歳のハローワーク-村上 龍-

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13歳のハローワーク

半年くらい前に一度目を通したまま、読書感想文の候補から外していた一冊です。というのも、人生にとって「職」は切っても切り離せないものであるにも関わらず、このテーマをどう取り扱っていいかよくわからなかったというのがその理由です。

私たちは子供の頃に、職についてあまり知る機会を与えられることが少ないため、成長段階それぞれの目線で仕事を選びがちです。例えば、小さい子供は身近な彼らの目線で幸福を実感出来る職業になりたいといいます。消防士やパン屋さんやケーキ屋さん。これが、学生になってくるとスター性のあるスポーツ選手やクリエイターや芸能世界に憧れたりするようになります。この時点でサラリーマン!と答える子供はまだ少ないでしょう。

最後に成人して大人になると誰でも知ってるような大手企業に就職したいと望むようになります。また近頃はこんな声も聞こえてきます。「非正規」ではなくて「正社員」という地位を手に入れたいと。なんだか嫌な流れですけど、これが「職」の選択の主流であり現実です。

この漂流する子供たちに助け舟を出してくれるのが、13歳のハローワークです。この本の公式サイトもありますが、私はおすすめしません。子供たちが口に出した職業を本の中で一生懸命調べてあげる方がよほどいいと思ってます。その理由は、子供たちのために閲覧制限を設けている大人が多くないことにあります。本という1冊の限られた世界こそ最高峰のセキュリティがかかっていると私は考えます。



休みの日は勤労感謝の日

13歳のハローワークという本を読んでからというもの、自分がお休みの日は全て勤労感謝の日だと思って過ごすようにしています。電車や車で移動したり、外に出て美味しいご飯を食べたり、お店で美味しいケーキを食べたり、宅配便が届いたりと、自分が休んでいる時も社会では必ず誰かが働いてサービスを提供してくれます。サービスの提供があるからこそ、現代人は思いっきり休日を楽しめるともいえるでしょう。多種多様な職業の紹介文を読んでいると、自然とそういう気持ちになってきます。

二手にわかれる職業のコントラスト

休みの日は全て勤労感謝の日なんて考えていると、ある一つの考えが浮かんできました。じゃあ、自分のしている仕事ってなんだろうと。私はシステム会社の一員として働いていますが、仕事のことを誰かに尋ねられると少し考えてから説明するようにしています。ホームページを作っていますというのとは正確さを欠くし、一言では説明出来ない職種ですね。そういう流れから、現代の職業は二手のコントラストにわかれつつあるのんじゃないかと思えてきました。

一つは相手に「説明しやすい職業」。もう一つは相手に「説明しにくい職業」です。この説明しにくい職業を説明するのが難しいのですが、要はそれが生活の何の役に立っているかがわかりにくい職業のことです。働き手がお客さんとあまり接しない、もしくは作ったものがお客さんに接しない意識されないような仕事です。こういう職業はこれからも増えてくるでしょうし、減る事はありません。

説明しにくい職業は、これからも効率化され分業化され専門化され小さく細切れにされていきます。小さく細切れにされると、サービスを提供する相手がだんだん霞んできます。自分の作ったものが本当に人に喜ばれているかを知る機会はこれから増々減っていくように思います。説明しにくい職業は、これからどんどん「純度の高い仕事(働き手の感情が介在しないと言う点で)」になっていくかもしれません。

この説明しにくい職業を手っ取り早く説明するなら、最近話題の「海外の工場で作られる食の安全です」。働き手とお客さんがあまりに遠のいてしまったわかりやすい事例。こういうことが今世界中で起きています。働き手とお客さんとの間に感情のやり取りはありません。作り手は遠い海の向こうで誰がこれを食べるかなんて気にしません。これこそまさしく「純度の高い仕事」と言えるかもしれません。

こうして仕事としての純度が究極までに高まると人は仕事に意義を見出せなくなるのです。見出せるのは、賃金を得た後の自分の未来だけです。振り返ってみると人間としての感情が仕事からどんどん取り残されているように思います。

この純度の高い仕事から取り残されたヒトの感情が、もしかしたら現代の若者たちの諦めにも似た現実的で地に足の付いたどこか消極的な考え方に絶妙にリンクするような気がします。

新 13歳のハローワーク
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“おやゆび文鳥”

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