宗教小説であり、ホラー小説でもある異色作品。『遠藤周作』の沈黙 

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時代背景は、日本の歴史上最大規模の一揆『島原の乱』が終わった直後の日本。そこに、信心に燃える2人の宣教師が訪れ、生き残った貧しい切支丹たちを前にキリスト教に対する根源的な問いと向き合っていく話。表題の沈黙している者とは誰のことなのか?また何故沈黙を続けるのか? 宗教小説でありながら、ホラー小説でもある異色の作品。

著者について

遠藤 周作(えんどう しゅうさく、1923年(大正12年)3月27日 – 1996年(平成8年)9月29日)は、日本の小説家。父親の仕事の都合で幼少時代を満洲で過ごす。帰国後の12歳の時に伯母の影響でカトリックの洗礼を受けた。

慶應義塾大学文学部仏文科を卒業後、1950年にフランスへ留学。帰国後は批評家として活動するが、1955年半ばに発表した小説「白い人」が芥川賞を受賞。キリスト教を主題にした作品を多く執筆し、代表作に『海と毒薬』『沈黙』『侍』『深い河』などがある。ユーモアに富むエッセイも多く手掛けた。
Wikipediaより

1%の壁

こんな話を聞いたことがありませんか? ある宗教が根付くにはその国の人口の1%をまず目指さなければならないそうです。

戦国時代に布教が始まったキリスト教。その信徒の数が現代の日本において未だ1%を越えられていないのは、奇異と言えば奇異なのです。現在、最大のカトリック信者が多いのは実はヨーロッパではありません。お隣の中国です。その数は、既に人口の10%を超える段階に達し1億3000万人と言われています。日本の人口より多いんですね。

表向きは国よって禁止されているため、地下教会と呼ばれる形で拡大を続けているようです(信仰の内容が正当なキリスト教かどうかは賛否わかれます)。また、韓国でも人口の約3割を占めるほどキリスト教が盛んです。山の手線で高田馬場を通りすぎるときにハングル文字が掲げられた教会をいくつか見つけることが出来るでしょう。こういったパターンは日本では見受けられません。神道で言えば、ブラジルのサンパウロ市にある日本人街の入り口に鳥居がある程度でしょうか。

宗教廃絶を訴える人

宗教絡みの事件が起きると、安易に宗教廃絶を訴える人が増えてきています。そういった感情はわからなくもありません。ただ、多くの芸術作品、文芸作品の主要なテーマとして宗教が扱われているほど、その根が相当に深いのもまた事実だということを忘れてはいけません。

翻って、私たちが信じている拝金主義もひとつの宗教だと思っています。紙幣や口座の数字は相互の信用の上に成り立っているわけですから。宗教なんて○○だ!なんていう言葉は慎んでおくべきでしょう。どちらにせよ、私たちは実体の無いものを信仰しているのです。

迫害される日本のキリスト教徒がフォーカスされていますが、隠れ切支丹という言葉があったように、実は隠れ念仏というものもあったのです。その事も心に留めておいて読み進めてみるとまた違った見方ができるかもしれません。

超宗教国家日本のひしゃげた宗教観

屈折した日本の宗教観というよりは、ひしゃげた宗教観と言ってもいいかもしれません。初詣は神社に行っておみくじを引く、クリスマスはケーキを食べながらプレゼント交換、死んだらお寺のお墓に入る。

特にクリスマスは異様です。ドイツに滞在していた頃は、クリスマスや復活祭はとても神聖な行事として行われていたことを肌身で感じていますので。これをイベントとして享受する日本人のガマ口の大きさは恐ろしさすら感じます。作中に出てくるある司祭はこの国民性を泥沼と表現しています。瞑想、断食、ヨガも流行っていますが、これらは今でも正真正銘の宗教行為です。

多くの日本人は無宗教だと言われているけども、実はそうではないことがこの作品を通してわかってきます。昨今、西洋に増えている無神論者とは何か違う、透明で強烈なニオイを放つ原始宗教のアニミズムが日本人の根底には流れているのです。つまり、日本はある種の超宗教国家ともいえるのではないかなと思えるのです。その一方で、トイレにも神様がいると考える宗教観を私は素敵な考えだなと思ってます。

最後のどんでん返しがとても、興味深いです。ロードオブザリングが好きな人は、作中に出てくるとある人物があの『ゴラム』を彷彿とさせるので、かなり楽しめるかもしれません。

希望と絶望とが表裏一体となって主人公である司祭に襲いかかる瞬間、物語はどういう結末を迎えるのか、是非読んでみてくださいね!

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“おやゆび文鳥”

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